それは2013年、東日本大震災の爪痕がまだ色濃く残る春、気仙沼の保護者との何気ない会話から始まった。
「テレビヒーローのライブツアーが毎年この時期に仙台で開催されるので、テレビで盛んに宣伝するから、子供たちが行きたがる。でも、ライブの観覧料が一人、3,800円。気仙沼から家族4人で行けば、観覧料の他に、高速代やガソリン代、途中の食事なんかも含めると、3万以上の出費になるんですよね......。連れて行ってあげたいが、仮設住宅暮らしではそんな余裕がないんですよ。でもいつか、いつも我慢ばかりさせている子供たちに、見せてやりたいな......」
被災地での無償ライブ開催の検討が始められた。リュウプロジェクト立ち上げ同様、会館でのライブとなると、会場、舞台美術、音響、照明、広報などの費用は生半可な金額ではまかなえない。いつも最後は同じ言葉に行き着いてしまう。
「金はどうする......」
現場を回っているメンバーから声が上がる。
「俺たちがやらなきゃ被災地に住む家族の夢は、夢で終わってしまう!」
「その夢を叶えてあげられるのは、私たちしかいない!」
来年春までにスポンサーの目処がついたらという条件のもと、被災地の子供たちを無料招待するスーパーライブの翌年開催を目指し、2013年5月、プロジェクトはスタートした。